written by みさやんさま
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Everything i do is for you.
〜闇に架ける虹〜
<6>
ヨーロッパアルプス某所―。
絶え間なく降り続いている雪は、墜落したドルフィン号の上へと積り、機体が焼け焦げた煙さえも消していた。
ブラック・ファントムと、その基地からの迎撃で傷だらけになったドルフィン号は、機体の全動力をオフにしたまま、冷たい白銀の世界にひっそりと身を隠していた。
時折、雪混じりの強い風が、機体に開いた穴から入り込んでは壁にあたり、行く場を無くした迷い風が、妙な音を立てていた。
そんなドルフィン号の内部では、一時の休みも無く機体の修理を続ける002達の姿があった。
*
機械が焼け焦げた臭いが充満するエンジンルーム内では、バチバチとした音と共に、火花が飛び散っていた。
「…なあ004、あと3センチ左に被弾してたら、補助エンジンに当たってるぜ?」
「そんなもんに命中していたら、上空で大破だったな…」
電動工具を片手に、機体内部を修理していた002と004が会話を交わす。
「なあ、お前、あとどれくらいで飛べるんだ?」
002は、コンコンとエンジンをノックしながら、ドルフィン号へと話しかけた。
「明朝までにはエンジン部分の修理を終わらせないと、俺達に次はない。ブラック・ファントムと基地は破壊したとはいえ、ここはBGの息がかかった場所だからな。とにかく時間はない」
004は、剥き出しになっている配管や電線の修理の手を止めずに、002に話しかけた。
「時間か…、そういえば今、何時だろうな?」
「さあな…」004は、深い息をはいた。
「なあ、004?」
「なんだ」
「スノーとかいう男、空中を加速装置つかってドルフィン号まで移動して来たのか??」
「加速装置を持つお前なら、空中でそれは可能だと思うか?」
「マッハで飛んで、さらに加速装置を使うってことか?」
「ああ、そうだ」
「まあ、可能だろうな。でも俺の構造じゃ、オーバーヒートしてドカンだ。そこが“俺達”の辛いとこ」
俺達という言葉に004は、声をたてずに苦笑いした。
「第一世代の俺達じゃ無理でも、009を造った今のBGの科学者が、009と002の性能を併せ持つサイボーグを造れる可能性は、大有りだな…」
「でもあの男、ドルフィン号から飛んだっていうよりは、飛び降りたって感じだったぜ?」
「ああ、そうだったな」
「俺みたいには飛べねえんじゃないの?足の裏、確認しときゃ良かったぜ」
「コクピットや外部に穴が開けられた形跡はなかったとなると、イワンのような能力かもしれんな」
「そう思うと、瞬間的にコクピットに移動して来たと思うのが妥当な線だと思わねえか?」
「エスパーか」
「一人で俺達三人分の性能だってか?!チェッ!BGも、派手なことしやがるぜ」
「様々な機能を、一人で兼ね備えたからといって、戦闘能力が上がるとは限らんけどな」
*
「002、004、修理の進み具合はどう?」
008の声が響き、電動工具を止めた004は、エンジンルームへ入ってきた008の険しい表情に目を止めた。