written by あゆかさま






「ねぇージョー、スクーターに二人乗りって・・・・・・・みたいじゃない?」

「えっ・・何?・・聞えないよ、フラン。もっと大きい声で言って!」

「だ・か・ら・・・・”ローマの休日”のワンシーンみたいねって言ったの」

「・・何それ?・・・」

「・・・・何って見たじゃないの〜〜一緒に!!憶えてないのーーー」

「・・・・・・・・」

「ほら、、、身分違いで別れちゃう。見たでしょ?一緒に・・・」

「ああ・・船が沈むやつ?」

「・・・それは”タイタニック”!」

「・・・えっと・・・女性が病気で死んじゃうやつ?」

「・・・それは、”ある愛の詩”・・・・」

「だから・・切ない恋の!」

「ああ・・・わかった!結婚出来なくて・・・・あれは悲劇だった・・・」

「ジョーが言いたいのは、”日陰のふたり”でしょ?・・」

「・・・・・・・・違うの?・・・・・」

  「違います!!」

「えっと・・・女性がバレリーナで相手が戦死したと思って・・えっと・・」

「”哀愁”です。」

「本当に憶えてないの?」

「憶えているよ、わざとだよ。わざと・・だから、、洞窟の中でキスしたやつ?」

「・・・・・・コホン、”輝きの海”です。」

「フランと見た映画一杯あるからごちゃごちゃになっているんだよ・・はっはっーー」

「ヒント!王女様と新聞記者との恋」

「・・・”カサブランカ”かな?」

「・・・・・・・」

「”ハムレット”にスクーターは出てこないよな・・・」

「もしかして、適当に言ってる?」

「・・・・・・・・」

「ロケ地はイタリアよ。ほら、王女様が髪の毛を切って!ローマをスクーターで観光するじゃない」

「・・・・アイスクリーム・・食べてなかったっけ?」

「・・食べてたけど・・・・」

「思い出したよ!広場の階段でアイスクリーム食べてたよね。美味しそうだったなぁ〜」

「・・はぁーー。もしかして、今、アイスクリーム食べたい?」

「こんな天気が良い日にはアイスクリームはお決まりコースだろう?」

「呆れたわ。ジョー!!映画のワンシーンを食べ物で思い出すなんて・・・」

「フラン・・そのシーン見て思わずアイスクリーム食べたくなかった?」

「えっ!!・・まぁ〜美味しそうだったけど・・・」

「じゃ、映画のシーン通りに今から、アイスクリーム食べに行こう!!」

「私、ラム・レーズンが良い!」

「フラン・・・食べたかったんだ・・・」

「ジョーに釣られたのよ!!」

「じゃ、僕もラム・レーズン!!」

「真似しんぼ!」

「王女様はそんなセリフ言ってなかったよ!」

「憶えてないくせに!!」

「憶えているよ、アン王女が新聞記者と出会いスクーターに乗って市内観光するだろう、

そして、恋に落ちるのだけれど結局、自分の世界に戻ったという物語だろ?」

「ちゃんと、憶えているじゃない!!ちょっと見直したわ・・」

「ちょっと?」

「もう!!言葉のあやよ」

「じゃ、フラン王女、アイスクリームを食べた後は市内をご案内致します。」




初夏を思わせる暖かな5月某日。

二人のデートは映画のワンシーンのように・・・





<Fin>

2005.May













    こちらの『ローマの休日』は「Sweet Brier Drop」のあゆかさんにお贈りした拙イラストからイメージして
    あゆかさんが書いてくださったお話です。

    「Sweet Brier Drop」さまの閉鎖にともない、あゆかさんのご好意で
    当サイトにお飾りさせていただくことになりました。

    まるでじゃれあうかのような二人の会話が、若々しくて屈託のない恋人同士のそれで
    とても微笑ましくなります ^-^

    あゆかさん、このたびは大切な作品をお預けくださいましてありがとうございます。
    そして今までたくさんの素敵な作品で楽しませてくださいましてありがとうございました。
    執筆活動はこれからも続けられるとのこと、楽しみにお待ちしております。


                                             水無月りら 2006.09.25




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