written by うさきちさま





蒼 海



海に行こう



晴れ渡った空の下

燦々と陽の降り注ぐ

波間煌く蒼海へ



車を飛ばしてドライブ気分で

いつもよりも足を伸ばして

誰も知らないような別世界へ



二人っきりの楽園へ



今年も一緒に出かけよう







そうして君を誘ったこの海に

僕は一人息を飲む





そこにあるのは一面の蒼



君の瞳のように

深く静かに澄み切った蒼



その青空に

その海原に



僕のことを優しく包む君の吐息

その姿を重ね合わせて



もうずっと視線も逸らせず



心奪われたまま

ただこの蒼い世界を見つめていた







「ジョー、何を見ているの?」

「え?」





その僕の目の前には

いつの間にか君の笑顔



それはあまりにも突然で

僕の心臓は悲鳴をあげる



僕を覗き込む瞳に揺れる蒼い影

陽に焼けた頬はほんのりと色づいて

はにかんだ口元から零れ出るのは心地よい音色





僕だけの愛しい愛しいフランソワーズ





その君の笑顔に心の内を見透かされた気がして

僕は思わず君に背を向ける





「海が…綺麗だなって思って…」

「そう…」





コトリ…





視線を逸らし言葉を濁した僕の背に

静かにそっと寄り添って

君は黙ってこの手に触れた







そこにあるのは二つの手



何を語るでもなく

何ら抱きしめ合うでもなく



ただ握り合った二つの手





その絡み合う指先に

その触れ合う体温に





お互いの想いを確かめ合いながら…







僕たちはそのまま黙って海を見つめていた














-Fin-









「Little Little Hutch」のうさきちさまが
サイトオープンのお祝いとして、初代トップ絵からイメージして
素敵な詩を書いてくださいました(嬉♪)

途中でちょこっとふたりの会話が入るところが、ジョーの物思いの中から
現実に引き戻される感じがして、ジョーとフランソワーズの存在をリアルにしています。

なかなか素直に気持ちを言葉にできない島村さんですが、
寄り添った背中&つないだ手からふたりの心はしっかり通じあっているようです ^-^

蒼い海と空とフランソワーズの瞳と。

どこまでも透明で,それでいてとてもあたたかいのです♪

うさきちさん、このたびは素敵な詩をどうもありがとうございました。

 
                    水無月りら  2006.08


  うさきちさんの素敵サイト「Little Little Hutch」はコチラ♪
Link



モドル